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【ブログ】衛星データ×AIを活用した遊休農地探索の効率化

事業開発部の糸井です。今回は、衛星データとAI解析技術を組み合わせた遊休農地探索の効率化についてご紹介いたします。

日本の農業は、食料自給率の低迷、農業従事者の高齢化や、深刻化する人手不足等、数多くの課題に直面しています。その中でも年々増加を続ける遊休農地対策や耕作放棄地の把握・利活用は、大きな課題の一つとなっています。農林水産省の統計によれば、2023年時点で全国の遊休農地面積は約28万ヘクタールに達し、これは東京都の面積を超える規模に相当します。この広大な土地をいかに有効活用し、農地の集約化を進めるかが、日本の農業再生の鍵を握っていると考えられます。

毎年、夏から秋にかけて、全国各地の市町村では、遊休農地の調査と把握を目的とした「農地パトロール」が実施されています。現場の調査員の方々は、炎天下や過酷な環境の中、紙の地図や最近ではタブレットを手に、合計数万か所以上の農地を一つ一つ足で巡っておられます。場所によっては、足場の悪い雑草地や林をかき分け、荒れて久しく放置された耕作放棄地を探し出す、まるで探検のような作業です。年々、自然環境の厳しさが調査の過酷さに拍車をかける中、限られた時間と労力の中で、正確なデータを収集するために、身を削りながら日々奮闘されています。

また、調査員や事務局の方々は、収集したデータを書き写し、手作業でシステムに登録するという正確性が求められる膨大な作業が続けられていますが、アナログな作業による記載間違いが発生することもあり、大きな負担となっています。遊休農地を正確に把握し、適切な対策を講じるため、これまでも地道な努力が重ねられてきましたが、対象となる農地は年々増加し、自然環境は一層厳しさを増し、さらに人材確保の難しさも加わり、現場を一層苦しめています。このような背景と現状から、効率的な調査手法の導入やデジタル化が今まさに強く求められています。

弊社は、こうした状況に対応し、現場の負担を軽減するために、最新の衛星データとAI解析技術を駆使して遊休農地問題の解決に取り組んでいます。特に、SAR(合成開口レーダー)衛星データと独自のAIアルゴリズムを活用した農地判定に強みを持っています。この技術は、天候や時間に左右されず安定したデータを提供でき、日本の多様な気候条件下でも農地の状況を的確に把握できる「頼れる相棒」です。SAR衛星と光学衛星のデータの組み合わせにより、地表の微細な変化をまるで金田一耕助のように(古いですね..) 見逃さず、耕作の有無や放棄地の兆候を早期に検出することが可能です。

遊休農地探索AI活用のイメージ(スペースシフト作成)

 

衛星種ごとの農地の見え方の違い(スペースシフト作成)

 

弊社のAI技術は、最新の衛星データを解析し、遊休農地の自動検出と分類を行います。植生を考慮した機械学習アルゴリズムを用いることで、高精度に遊休農地を特定できる点が大きな特徴です。これにより、従来の手法では困難だった広範囲かつ高精度な農地の分析が可能となり、従来の目視や現地調査と比較して、大幅な業務効率化と精度向上を実現しました。実際の成果として、遊休農地を80%の精度で判定し、優先的に調査すべき対象地を早期に絞り込むことが可能になりました。これにより労力を削減し、人的リソースを他の重要な業務に振り向けられるようになります。

衛星データとAIの連携により、遊休農地の解析プロセスは大きく向上し、直感的な可視化が可能となりました。さらに、必要に応じてドローンやIoTセンサーを活用した地上データと組み合わせ照合することで、解析の精度をさらに高めることができます。これにより、より正確で効果的な農地管理が実現します。

実際の遊休農地検出の例(スペースシフト作成)

 

さらに、弊社の技術は、遊休農地の検出にとどまらず、調査後の活用策の立案にも貢献します。AIによる土壌分析や栽培モニタリング、気候データとの統合により、各遊休農地に最適な作物の提案や、再生可能エネルギー施設の設置適地の選定が可能となる組み合わせも考えられます。適地適作の実現やスマート農業技術の効率的な導入、生物多様性の保全、農福連携の促進等、今後多岐にわたる可能性が広がります。弊社では、こうした最先端の技術を駆使して、日本の農業が直面する複雑な課題に対して持続可能な解決策を提供し、農業再生の一助となることを目指しています。

 


 

弊社の技術を用いた遊休農地問題の解決やスマート農業の取り組みや衛星データビジネスにご関心のある方は、ぜひ当社HPの お問い合わせフォームよりお問い合わせください。

  • 記事作成者:糸井(事業開発部)

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