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【ブログ】ALOS-4と世界のSAR衛星

みなさんこんにちは。スペースシフト事業開発部の堤です。

2024年7月1日に打ち上げたJAXAのSAR衛星ALOS-4(だいち4号)ですが、現在は初期機能確認運用とのことで、7月31日に初観測画像が公開されました。このALOS-4は、ALOS-2と同じく災害や環境・海洋分野での活躍が期待されている衛星で、ALOS-2に比べ分解能をそのままに、最大で4倍の面積を観測可能な高性能なLバンドのSAR衛星です。観測する周波数(band)ごとの特徴についてはこちらの記事でも簡単にご紹介しましたが、Lバンドの周波数帯の電波は植生を透過しやすいことから、樹木の多い山間部などの地面の変化を観測するのに適しています。

スペースシフトでは、ALOS-2の衛星データを用いた災害モニタリング(浸水検知、土砂崩落検知)や、海洋の船舶検知を行うAIアルゴリズムをすでに開発しております。今回無事に打ち上げが成功したALOS-4のデータを活用することで、一度に解析できる範囲が拡大することや、機数が増えたことによるデータ取得の頻度が向上することから、これまで以上に利用者のニーズに適ったソリューションを提供することを目指していきます。

このように、SAR衛星にはバンドごとの違いがあり、多種多様なSAR衛星が世界中で運用されています。前述したALOS-4のような重量が数トン級の大型衛星は各国の宇宙機関などが運用しているもので、データが無償公開されているSentinel-1衛星(Cバンド、ESAが運用)やスペースシフトの提供している変位解析でも使っているCOSMO-SkyMed(Xバンド、ASIが運用)衛星なども大型衛星です。一方で、現在民間の衛星事業者が活発に打ち上げを続けている小型のSAR衛星(数100キロ程度)は、センサーの小型化などの技術的観点から、Xバンドのセンサーを搭載しているものがほとんどです。

これらのSAR衛星は官民問わずその数が増えている状況で、現時点で大小およそ80機が運用されており、2030年に差し掛かる頃には200機程度まで増加する予定となっています。下の図は各社の公開情報などをもとに作成したこれまでのSAR衛星の機数の変化を示したタイムラインで、2010年頃には数機しかありませんでしたが、2020年頃から小型SAR衛星なの打ち上げが段々と増え始め、種類も数も大幅に増加しているのがわかります。

 

世界のSAR衛星の運用状況(公開情報を元にスペースシフト作成、2024年7月末時点)

 

SAR衛星が増えることの最大の利点は、観測できる頻度が増加することです。1機だけでは観測の間隔が1週間以上空いてしまう場合もありますが、全体の機数が増えることによって「目的のエリアを何かしらのSAR衛星が1時間以内には必ず撮像している」というような、よりリアルタイムなデータ取得が期待できます。このようなリアルタイム性の向上は、災害対応などへの衛星データ利用の有効性が向上されるだけでなく、物流など定常的に監視が必要な分野へのSAR衛星利用の応用が可能になります。

こういったより高頻度・大量のデータ解析にこそ、人の手を極力必要としないAIによる解析が有効であるとスペースシフトは考えています。数年後の宇宙業界を見据えながら、様々な分野の解析技術開発を進めていきますので、ぜひご期待ください!

 

 


 

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  • 記事作成者:堤(事業開発部)

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