Loading...
JP / EN

NEWS

【ブログ】衛星データを活用した変位解析 ⑤:地盤の変位量解析

皆さんこんにちは、スペースシフト、セールスエンジニアの堤です。

第4回では、衛星データを活用した変位解析のユースケースを、業界ごとに紹介しました。今回はその中でも、広域の変位解析による、土砂災害のリスク判定での活用方法をご紹介します。

衛星データによる変位解析は広域の地盤の変化を一挙に、かつ時系列で取得することが可能である点が最大のメリットです。そのため、過去半年〜数年間にわたる地盤変位のリスクを判断する有効な手段となります。例えば、過去数年周辺に比べて沈降しているエリアは、地盤が相対的に緩い可能性が高い(=土砂災害のリスクが高い)エリアと判断できるわけです。

 

阿蘇山周辺の2016-2018年の変位解析の例(スペースシフト作成)

 

この図はスペースシフトが実施したSentinel-1衛星データでの2016 – 2018 年の期間の日本全の変位解析の結果から、熊本県の阿蘇山周辺を抜粋したものです。このエリアは2016年4月の熊本地震で被害が発生した場所であり、地震後2年間の動きを可視化していることになります。赤や青になっている箇所が、変位量が大きくなっている箇所を示しているわけですが、阿蘇山周辺やその南西部(熊本市街周辺)のエリアで顕著に沈降・隆起が起きていることがわかります。

この例は地震後の変位解析の例ではありますが、逆に平時に変位解析を行い沈降・隆起が検知された場合を考えてみましょう。その沈降・隆起がトンネル工事などの人為的な事象が原因でなければ、それは地盤自体の災害リスクが高い可能性がある、と言えます。このような長期の変位状況と、ハザードマップ等を組み合わせたり、変化が大きいエリアにセンサーを設置・現地での調査を行うことで、広域を衛星でカバーし、詳細な対応箇所を絞ることで、より効率的な災害対策が可能となります。

このような災害のリスクを変位解析から判断しようとする場合、特に山間部などの植生が多いエリアを解析したい場合は、適切な衛星データを選択する必要があります。変位解析に使用するSAR衛星は、機種ごとに搭載しているセンサーが異なり観測周波数に違いがあります。その周波数の違いにより、どのようなものが見えやすいかに違いがあります。

 

https://sorabatake.jp/279/

 

衛星種ごとの変位解析の特徴を実際の事例で見てみましょう。次の図は同一のエリアをSentinel-1(Cバンド)とALOS-2(Lバンド)のデータでそれぞれ変位解析した結果です。分解能(観測データの空間的な粗さ)の違いや、緑の多い山間部であることから、ALOS-2の解析による結果のほうがより多くの解析点が得られていることがわかります。一方で、それぞれの図の時間プロットの例に着目すると、Sentinel-1のほうが、ALOS-2に比べて時間あたりのデータ点が多くなっていることがわかります。つまり、時間経過における変位量の変化を細かく見たい場合にはSentinel-1のほうが有効である、ということになります。

衛星ごとの変位解析の違い(スペースシフト作成)

 

今回ご紹介したように、衛星データを活用した変位解析は広域の災害リスク判定に有効な手段ですが、どのようなエリアをどのくらいの頻度で解析したいのか、によって適切な衛星データを選択する必要があります。スペースシフトは衛星データ業界の幅広いつながりを活かし、皆さんのニーズに応じた適切な衛星データからサポートすることが可能です。もしこの変位解析にご興味がある場合は、お問い合わせフォーム・もしくは下記のメールよりご連絡ください。

次回以降の記事では、変位解析の他の事例などをご紹介していきたいと思います。

 

より詳しく知りたい方は、当社HPの お問い合わせフォームよりご連絡ください。

  • 記事作成者:堤 大陸( 事業開発部 )

【プレスリリース】スペースシフトは「衛星コンステレーションによる革新的衛星観測ミッション共創プログラム」に参加しました

衛星データ事業共創プログラム「SateLab(サテラボ)」始動とシリーズB資金調達に関する記者発表会を開催しました

【プレスリリース】スペースシフトは「衛星コンステレーションによる革新的衛星観測ミッション共創プログラム」に参加しました

【プレスリリース】衛星データ事業共創プログラム 「SateLab(サテラボ)」を始動、 衛星データで地球課題の解決を目指す共創パートナー企業を募集!