【ニュース】SAR衛星データの活用価値を高める独自技術「Eclipse band」を開発 ― JpGU-AGU 2026で研究成果を発表

スペースシフトは、合成開口レーダー(SAR)衛星画像に観測原理上生じる「アジマスアンビギュイティ(azimuth ambiguity)」を、画像の方位分解能を維持したまま低減する独自の信号処理手法「Eclipse band」を開発しました。本手法に関する発明について、日本国内で特許を出願済みです(特許出願中/Patent Pending)。
研究成果は、2026年5月29日(金)に開催された国際学会「JpGU-AGU Joint Meeting 2026」(セッション「S-TT49 合成開口レーダーとその応用」)にて発表しました。
技術の概要
SAR画像には観測原理上、本来の対象物以外の信号が映り込む「アジマスアンビギュイティ」と呼ばれる現象が知られています。従来は観測アパーチャの分割で抑制する手法が一般的でしたが、方位分解能の低下を伴うという課題がありました。
▶️スペースシフトの提案:「Eclipse band」
「Eclipse band」は、このトレードオフを打破することを目指した、当社独自の信号処理アプローチです。具体的には、
- 観測信号の 広帯域のうち一部を意図的に欠落(partially-missing)させた複数のサブ画像を生成
- それらのサブ画像を 画素レベルで相互参照することで、本来の対象物に由来する成分と、サイドローブに由来する不要な成分とを判別
- 不要成分と判別された画素のみを、フルアパーチャ画像から置換
この一連の処理フローを組み合わせることで、方位分解能を犠牲にすることなく、アジマスアンビギュイティを低減することを可能にしました。

図:提案手法 Eclipse band 適用後(左)と従来手法(右)の比較
(補足:干渉SARの干渉位相画像。赤い破線枠の領域に注目すると、従来手法はアンビギュイティ起因のノイズが乗って位相縞が乱れているのに対し、提案手法はその影響が抑えられ、より明確に干渉位相が得られている。つまり、より正確な位相差解析が可能になる。)

図:ALOS PALSAR 海域(船舶領域)画像における従来手法(左)と提案手法 Eclipse band 適用後(中央)とその差分(右)
動画:受信信号の影を制御することでノイズ領域のみを低減する動画 © JAXA,METI
▶期待される応用
本手法はSARデータの後処理として既存パイプラインに組み込むことが可能で、当社の衛星×AI解析ブランド SateAIs™(サテアイズ) との連携も視野に、SAR衛星データの活用価値をさらに高めていくことを目指します。また、詳しい手法の確立や検証を経て、国際ジャーナルにも投稿予定です。
学会発表
- 学会:JpGU-AGU Joint Meeting 2026 ( https://www.jpgu.org/meeting_j2026/ )
- セッション:S-TT49 合成開口レーダーとその応用
- 発表タイトル:Eclipse band: Reducing SAR azimuth ambiguity by cross partially-missing-band synthetic aperture processing technique
- 発表日:2026年5月29日(金)
- 発表者:安井 秀輔(株式会社スペースシフト)
- 共著:横谷 洋、元村和史、金本 成生(株式会社スペースシフト)、大串 文誉(NV5 Geospatial Solutions)

写真:JpGU-AGU 2026で発表した弊社・安井
特許出願について
- 出願日:2026年4月28日
- 状態:出願済み・審査中(特許出願中/Patent Pending)
謝辞
本研究で使用したALOS-4データは、第4回地球観測研究公募における共同研究の枠組み(EORA)でJAXAから提供されたものです。
データクレジット
- ALOS PALSAR:© JAXA, METI(公開データ)
- ALOS-4 PALSAR-3:© JAXA(EORAによる配布)
関連する過去の記事はこちら:https://www.spcsft.com/news/3868/
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株式会社スペースシフト (担当:安井・元村)
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